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初日のこと・1 ~誤算~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 気を大きく持っていたのは確かだ。
 昨年のフランス旅行がつつがなく終わったことに味をしめ、「まぁどうにかなる」と、ナメてかかっていたことは間違いない。
 せっかくの個人旅行なんだからその利を生かし、出発前にすべての旅程をかっちり決めて日本で予約できるものはすべてしてしまうということもなく、今回はある程度の自由度を持たせた上で渡航に及んだ。
 まぁ先にいってしまうと、今回も大きなトラブルもなく無事帰国できたわけだが、誤算といえば誤算といえることが、初っ端に起こってしまった。

 ヨーロッパの旅も2回目。大きな気概も気負いもなく、たいして緊張感もないまま成田空港第1ターミナル到着。
 旅行会社のカウンターで航空券を受取り、続いてチェックインカウンターで荷物を預ける。そこで、
 「日本からヨーロッパまではいいが、ヨーロッパ内のフライトは検査が厳しくなっており、液体類の機内持込はほとんどできない。荷物の入れ替えをするなら今のうちに」
 との説明を受けるが、そもそもわたしが持ってきた荷物のなかに液体と呼べるものはシャンプーと歯磨き粉くらいのもので、それとて機内に持ち込むわけではなく、持ち込むものといえばパスポート、航空券、イタリアのガイドブック、そして文庫本を1冊。そう、1冊だけ・・・。

 事前調べでは、立ち寄るつもりでいるイタリアの美術館や教会、有料施設にはクレジットカードが使えない場所が多く、食事もマクドナルド漬けになることが予想されるため、先に現金を多めに用意。とりあえず3万円分両替して、ターミナル内のユニクロをひやかした後、いざ搭乗口へ。

 2月13日、11時40分発、ウィーン・シュヴェッヒャート空港行、オーストリア航空052便。

 古めの機体だったのでちょいとした不安感をもよおしたのだが、乗ってみたらその不安が的中。

 エコノミー席に個人用モニターがなかった。

 昨年のフランス旅行でスカンジナビア航空に乗って、往復ともにモニター付だったため、ある程度規模の大きい航空会社の長距離便なら個人用モニター付きは当たり前のものだと思っていたのだが、あまかった。
 ウィーンまで12時間30分のフライト。
 さて、どう時間をつぶすか。
 眠ってしまうのがいちばんではあるが、これも昨年同様、現地着が夜。
 予定ではウィーンで乗り継いで、ミラノ着が19時5分。遅くとも21時頃にはホテルに着き、翌日の観光のためにすぐに就寝。
 その予定のためには機内で寝るわけにはいかず、実際、前夜は10時間眠って成田空港に向かっているのである。
 昨年同様、個人用モニターでゲームをやりつづける気でいたため、持ち込んだ本は2、3時間あれば読了できそうな文庫本1冊のみ。わかってりゃもう2、3冊持ち込んでいたものを。
 イタリアのガイドブックも、出発前に読みつぶしている。
 天井から吊り下げられた機内共用モニターで上映される映画は、いちおうすべて日本語吹替えがあるものの、微妙に古い『森のリトルギャング』とか、じつに日本人の肌に合わなそうなコメディ映画で、観る気がまったく起こらない(いや、そもそもわたしは映画が嫌いだったのだ)。
 機内の音楽チャンネルでは、さすがオーストリア航空、ウィーンフィル専門チャンネルとモーツァルト専門チャンネルが用意されていた。もうこれしかない。
 もったいぶりながら、ちびちびと本を読み進めては、モーツァルトを聴きつづけ、機内食をたいらげちゃ、ウィーンフィル。
 前日10時間寝ていたとはいえ、さすがにこれでうつらうつらとし始めた。
 機内は3分の1程が空席で、わたしの隣りも空いている。ついでに前も空席でシートを倒されることもなく、エコノミーのくせにじつにゆったりできている。
 耳にはモーツァルト。
 機内食でいらぬ見栄を張って頼んだワインがまわっている。

 “ここで寝たら、今夜寝れないなぁ。明日たいへんになるなぁ”

 と、思いながらも、睡魔には勝てず、気付いたらウィーン到着4時間前。
 明日寝不足で観光することを思い少し憂鬱になるが、なんだかんだでけっきょく時間がつぶれたのはまぁよかった。
 それで本の残りを読んだら、少し眠って頭がすっきりしてるおかげで、ずんずんページが進みやがる。1時間も要さず読了。残り3時間強。ここからが地獄というかなんというか。
 覚醒した頭で3時間。これからカトリックの総本山に向かうというのに、なにもせず、ただ座って3時間すごすという禅の修業みたいなことをしながら、16時。
 定刻どおり、飛行機は無事ウィーン・シュヴェッヒャート空港に到着した。


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初日のこと・2 ~ウィーンで乗り継ぎ~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 まぁ誤算といっても、「だからどうした」といわれれば返すことばもないくらいどうってことないはなしで、じっさいウィーンに降り立ったところで出発前の心境とかわりなく、昨年のフランス旅行で初めてのヨーロッパ上陸の地となったコペンハーゲン・カストロープ空港に到着したときほどの感慨はおこらない。

 その昨年の経験上、乗り継ぎに関するこの後の流れはだいたいわかっている。オーストリアがシェンゲン協定国だということも了解していた。
 さっさと入国審査へとむかい、ちゃっちゃとパスポートにスタンプをゲット。
 はい、オーストリア入国でございます。
 で、スタンプのデザインはどんなもんかと早速パスポートをペラペラと繰っていったら発見。

 いやいや、やっぱり勉強が足りなかった。すべてわかったような気になっていても、まだまだ知らないことは多すぎる。

 デンマークのスタンプとデザインがまったく一緒だった。違うのは出入国した都市・空港名の表記だけ。
 なるほど、シェンゲン協定国の出入国スタンプは全部同じで、たとえフランス、イタリアのスタンプをゲットできたとしても、パスポートには同じ模様が増えるだけということか。
 昨年のフランス旅行記で、
 “欲しいスタンプがあったら直行便で行け”
 などと書いたことが恥ずかしくなる。
 しかし、こう同じデザインばかりになるとパスポートのいろどりもイマイチに思えてきて、スタンプラリーに力を入れる気も少々うせる。ま、海外旅行はヨーロッパだけに限られたものではないわけだが。

 目的地、ミラノ・マルペンサ空港行きの出発は17時35分。乗り継ぎ時間は1時間30分あるのだが、日本出発前に説明されたように、ヨーロッパの空港での荷物検査は相当きびしいらしいので、空港内の売店には目もくれず早めに搭乗口へむかったら、案の定検査場には大行列ができていた。
 行列に並んでもなかなか前に進めない。
 しかし時間にはまだ余裕があるのでのんびりと、持っていたペットボトル入りジュースを捨てさせられたり、ベルトを外させられたり、靴を脱がせられたりでモタモタする外国人をながめていたら、ふと気がついた。

 まわりに日本人が見あたらない。

 成田発の便は、当然のことながら大半の乗客が日本人だったわけだが、そのほとんどが乗り継ぎ利用客ではなかったということか。
 たいした荷物もなく、あやしい物など持ち合わせていないわたしは、何の問題もなくさっさと金属探知機をくぐり抜け、ミラノ行きの搭乗口へ着いたら、いよいよ日本人どころか東洋人の顔さえ見えなくなった。
 慣れてしまうほどの海外経験はなく、いまだ日本語以外のことばをまともに理解できないわたしが、頼れそうなひとが誰もいないというこの状況に不安をおぼえないわけがないのだが。

 きた。
 やっとだ。

 旅を本気で企て、航空券の予約やら準備をはじめてから3週間。
 日本を飛び立ってから13時間。

 ここにきてようやく海外旅行の非日常性とそれを味わうことの昂奮、昂揚を実感しはじめた。
 不安は昂奮に隠されたのか、かき消されたのか、わたしが意識することはなかった。


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初日のこと・3 ~まだイタリアに着きません~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 さて、いよいよ海外旅行気分が盛り上がってきたわけだが、手荷物検査を終え、搭乗ゲートまで来てしまった身でできることといったら、ただ飛行機の出発を待つだけである。
 搭乗開始まで30分あまり。
 どうしたもんかとまわりを見渡したら、カフェ発見。
 わたしがいるこの地はウィーン。
 そうだ。ウインナコーヒーを飲まずしてどうする。
 で、いきおい入ってみたものの。

 日本で“ウインナコーヒー”と称されているものは、現地ウィーンでいちいち“Wiener coffee”などとよばれているのだろうかと疑問がわいた。いやそもそも、“ウインナコーヒー”がどういうものなのかと訊かれても、はっきり答えられる自信がないくらい、それをわたしはよくわかっていない。“ホイップクリームらしきものが乗っかってるコーヒー”、程度の認識だ。
 メニューをみても、案の定“Wiener coffee”なんて表記はない。
 アメリカンではないただのコーヒーをたのんだら勝手にクリームが乗っかってくるものなのかと、もう一度メニューを確認。で、値段を見てみたら、ただのコーヒーはアメリカンと同じ値段で、エスプレッソの次に安く、やっぱりこれも違うような気がする。
 先客が飲んでいるものを見てみると、みなエスプレッソかビールで、これも参考にならない。

 「ま、ウィーンで飲むコーヒーなんだから、どれを飲んでもウインナコーヒーと呼んで差し支えないだろう」
 と、結局は開き直りつつ、
 「ま、似たようなもんだろう」
 と、形状が似ているカプチーノを注文して決着。

 それにしても、出てきたカップがまぁデカイ。昨年のフランス、デンマークではエスプレッソしか飲んでないので比較できず、また北と南で標準サイズが違うのかもしれないのでなんともいえないのだが、とにかくこのデカさに少々びびる。
 ハワイのマクドナルドでセットの飲み物をコーヒーにして注文したら、日本でいうところのLサイズのカップに、なみなみとアツアツのコーヒーが注がれて出てきたのを思い出す。
 土地が土地だけに、あのことばを使ってしまいそうになるものの、なんだかそれもシャクなので、ちょいとアレンジしつつ、

 あえていおう、
 欧米であると。


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初日のこと・4 ~ミラノ到着~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 時刻は17時。出発の30分前になり、ミラノ行きの便の搭乗が始まった。
 ミラノ行きへはターミナルから直接搭乗できず、飛行機までバスで移動。
 客が揃うまでバスの中でしばらく待つ。
 そうしたら、さすがのミラノ行き、ドイツ語に混じってちらほらとイタリア語もきこえてくる。
 盛り上がってきた海外旅行気分も、いよいよ“イタリア”旅行のそれへと輪郭が明瞭になってきた。

 機内に入って席につき、定刻どおり17時35分、ミラノへと出発。

 それにしてもオーストリア航空のCAの制服。社の基本色である赤に全身染まっているのだが、この赤がどぎつい。どうにも下品に見えてしょうがない。
 ミラノ行きにひとり北欧系のパツキン美女のCAが乗務していたのだが、彼女ですらその赤にのまれていた。美人は何を着ても似合うといわれるが、ありゃウソだね。
 まぁ、だからどうというわけでもないのだが。
 ありがたいことに、ミラノまで1時間30分という短距離路線にもかかわらず、サラダとケーキの軽い機内食が出て、目に痛い赤もそれで帳消しだ。昨年、スカンジナビア航空のパリ~コペンハーゲン間では飲み物が出ただけだったのを思うと、なかなかいいぞオーストリア航空。
 などとボケっと思っているうち、いつのまにかミラノ・マルペンサ空港に到着していた。定刻どおり19時ちょうど。
 さっさと荷物をピックアップし、国内線と同様に入国審査もなく到着ロビーへ出る。目に付くところにさっそくピザ屋があったりして、わたしも素直に、じつに短絡的に、イタリアに来た実感を得る。

 さて、初日の宿。
 夜の到着とはいえ、さして遅い時間でもない。それでもやっぱり初夜は無難に過ごしたいため、荷物を抱えて地下鉄に乗ったり、長距離歩いたりはしたくない。
 ということで、マルペンサ空港からの直通バスが発着しているミラノ中央駅から歩いてすぐの場所のホテルを予約してある。

 で、バス乗り場へ。
 国際便が発着しているものの、たいして広くもないマルペンサ空港。方向指示も明確にしてあり、あっさりと乗り場を発見。
 中央駅行きの車両もすでに待機していて、乗り口の前にいた係りのおっさんに運賃5ユーロを払って乗り込む(わたしはちょうど5ユーロ紙幣をもっていたのでよかったのですが、釣銭がどれほど用意されているのかはわかりません。乗り場のすぐ近くにチケット売場があり、クレジットカードももちろん使えるので、そちらで買う方が無難でしょう)。
 15分程待って、車内が満員になってからバスは出発。
 しばらくは高速道路を走る。

 はじめて目にするイタリアの景色・・・。

 うーん、暗くてよくわからない。ましてや空港付近である。典型的地方都市郊外の景色に感想の持ちようもない。
 しかしそれも中心部に近づくと一変。20時30分頃に到着した中央駅付近には人通りもまだ多く、ミラノに対するわたしの先入観もあいまって、なんだか華やいだ雰囲気を感じる。
 「深夜のミラノ中央駅は非常に治安が悪いので近づくな」
 という内容のことがどのガイドブックにもインターネットサイトにも掲載されており、わたしにとってもそれがこの旅最大の懸念であった。いわれてみれば確かに駅前の広場は開けすぎているぐらい開けていて、それが人口密度を下げ、殺風景といえばそのようにも見えてしまうのだが、見渡せばひとも多くにぎわっていて、周辺には飲食店やマクドナルドも煌々と明かりを灯して営業しており、特にびびってしまう要素はない。なるほど、ここでいう“深夜”とは、いわゆる日付がかわって“未明”と呼ばれるド深夜のことで、こんな21時前なんて時間はまだまだゴールデンタイムということなのだろう。
 かといって、これから遊び歩くような勇気は持ち合わせておらず、そもそも勇気があったところでそんなことする気はハナからないので、さっさとホテルに向かう。

 CANOVA

 なる3ッ星ホテル。駅から徒歩3分もかからずに到着。
 ホテルに関するこの星評価はじつに曖昧で、あまり信用できるものではないのだが、部屋に入ったらダブルベッドのシングルユースということでじゅうぶんな広さがあり、バスルームにもバスタブがついていて、まぁこんなもんだろう、と。

 ただ、どうにも気になる点がひとつ。
 この画像の左の方に開かずの扉があるのだ。押しても引いても開かない。付いているノブはどんなに力をこめてもまわらない。
 どうやら隣りの部屋とつながっている扉らしい。もとはスイートルームだったのかなんなのかは知らないが、本来つながっている2部屋の間の扉をはめ殺しにして、1部屋づつに分けてしまったもののようだ。まぁそれはそれでいいのだが、困ったことにその仕事がかなりいいかげんで、ドア、壁、床の間に隙間があいている。
 ここはイタリア。男女ふたり組が入ってきて、見境もなくなにやらおっ始めたりすることもありえる。こりゃかなわん。さぁどうしたもんだろうと思いながらしばらくすると、いよいよ隣りの部屋に別の客が入ってきた。そうして入ってきたのがわかってしまう時点でかなり問題ではあるが、案の定、話し声までまる聞こえ。女性ふたりで英語を話している、ということすらわかってしまう。ビニールをガサゴソする音まで聞こえてくる。
 直前予約で通常よりかなりの格安料金で宿泊しているとはいえ、この部屋はあんまりだ。隣りはイタリア人カップルではないようなのでそっちの心配はないかもしれないが、別のなにかで深夜まで騒ぐようなことがあれば、面倒だが部屋をかえてもらおうかと、喋るべきことばを考えていたら、お隣りさんもこの2部屋の状況に気付いて気を遣ってくれたのか、さっさと寝てしまったのか、声も音も聞こえなくなった。
 こちらもなるべく物音を立てないようにするというのも面倒だが、部屋をかえることや、そのための交渉で四苦八苦することを考えるとまだマシだ。
 だいたい、このホテルには1泊しかしないし、もういいや。幸いにも隣りは静かだし、もう寝てしまおう。

 そういえば往きの機内で寝てしまったことに不安をおぼえていたはずだが、そんなことはすっかり忘れるほど脳はくたびれ、身体は休息を欲していた。やはり長時間のフライトは疲れる。部屋の明かりを消し、目を閉じたとたんに、意識はなくなっていた。


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2日目のこと・1 ~とはいえ、ほとんどは出発前のこと~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 ファッションにはまったくの無頓着。気にすることといえば、「なるべく地味に、目立たないように」くらいのものだが、それで出来上がる出で立ちがあまりにもダサすぎて逆に目立ってしまう。
 とうぜん土産に高級バッグを買っていくような知り合いもいない。
 サッカーにも興味なし。

 というわたしにしてみれば、はっきりいってミラノという街になんの魅力もないわけだが、それでもわざわざ訪れる理由はひとつしかない。

 サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会。
 そうです。あれです。
 レオナルド・ダ・ヴィンチ作、『最後の晩餐』である。
 どうせならローマかフィレンツェの教会で描いてくれればまとめて観られたものを、めんどくさいことしてくれるぜレオナルドよ。

 ここの見学は完全予約制。当日に飛び込みでいっても門前払いをくらうとのことで、わたしも事前に予約をしていったわけだが・・・。

 その予約方法。
 まずいちばん手っ取り早い方法がインターネットでの予約
 わたしがこのサイトをはじめに見たのが出発の2週間前で、その時すでに、ミラノ滞在予定日の全ての時間が満員(ちなみにその1ヶ月先まで満員だった)。このネット予約は別枠のようで、通常の電話予約枠ならまだ空いているらしい。
 その電話予約。英語も通じるそうだが、わざわざ国際電話をかけるまでの勇気と英語力の自信はまったくない。仮に勇気を出して電話をし、予約できたとしても、英語力の自信のなさから、ほんとうに希望どおりの予約ができているのか、結局は不安を抱えたまま渡航に及ぶのがオチである。
 そこで残された方法は旅行代理店で予約をしてもらうことなのだが、この予約代行料金がべらぼーに高い。通常料金が8ユーロ(チケット6.5e+予約料1.5e)のところ、某大手旅行代理店を通すと5000円。他の代理店も似たりよったり。
 もう諦めようとも思った。
 しかし、このイタリア旅行を決意したとき真っ先にミラノ行きの航空券を予約してしまい、その後に細かいことを決めていくという旅程の組み方をしたため、すでに1日以上のミラノ滞在は決まっていた。

 ミラノまできて『最後の晩餐』を諦めるというのはやはり惜しい。

 「これは最初から5000円なんだ。それ以下の価格はない」
 と、無理やり思い込むことにして、泣く泣く旅行代理店に5000円を支払うこととあいなった。
 (今にして思えば、やっぱり自らの電話予約でも問題なかったのかなと・・・。)

 そして2月14日。
 イタリア観光はじまりの朝。バレンタインデーのミラノの空は雲ひとつなく晴れ渡っていた。
 予約できた『最後の晩餐』見学時刻はこの日の10:15~。
 単なるシケた晩飯の風景なのかもしれないが、5000円もかけたのだ、意地でも堪能してやろうではないか。
 青空にもつられ、意気揚揚とホテルを出た。


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2日目のこと・2 ~ミラノ観光~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 ミラノに長居するつもりはなく、本日14:55分発、次の目的地であるヴェネツィア行きのユーロスターをすでに予約済み。
 しかしたとえファッションやサッカーに興味がないわたしにしてみても、やはりミラノにもそれなりに見どころは多いわけで。
 ここまできたのだ。みられるもんはみといてやろう。
 ということで時間ももったいないので、『最後の晩餐』の見学は10:15からではあるが、朝8時にはホテルをチェックアウト。荷物をあずけて、さっさと観光にでかけた。

 まずはミラノ中央駅の地下鉄駅へむかい、地下鉄・バス・トラムの1日乗車券を購入。
 地図をみる限り、観光スポットは市の中心部に集中していて、どこも徒歩でまわれそうではあったが、あまり時間もないし、価格も3ユーロと安いので(1回券は1ユーロ)迷わずこれで。
 ちなみにわたしは自動販売機で購入。イタリアの自販機は、“壊れている”、“釣銭が出ない”とよくいわれるが、今回は3ユーロぴったりもっていたおかげもあり、まったく問題なく購入できた。

 で、むかった先は、ミラノの象徴、ドゥオモ。

 まだ朝も早いので人もまばら。外装が工事中でちょいと残念。
 とりあえず中に入ってぐるっと観て回り、

 後、ドゥオモ周辺をぶらぶら。
 ドゥオモ広場に隣接する、やけにきらびやかなエマヌエーレ2世ガッレリアへ。ま、小癪な感じがするので、あえていおう、単なる屋根つき商店街であると。
 で、その商店街に立ち並ぶ小癪なブランドショップを、わたしという薄汚れた存在を侵入させることにより穢してやろうではないかと行ってみたら、時間も時間だけにどこも閉まっていた。ちっ、小癪な。
 ちなみにこれは中心にあったマクドナルド。高級感にあふれているが、価格は同じ、中身も同じマクドナルドだった。

 さて、次はドゥオモの屋根にでも登ってみるかと思ったら、ぶらぶらしているうちに時間も差し迫ってきていた。とりあえず後回しに。

 わたしにとってはミラノ最大にして唯一の目的地、『最後の晩餐』のあるサンタ・マリア・グラツィエ教会へ移動する。
 たいした距離でもないが、せっかく1日券もあるのでまた地下鉄乗車。カドルナ・トリエンナーレ駅まで行き、そこから徒歩。
 ここで道を間違い、30分ほど彷徨ってしまったが、10時少し前になんとか到着。

 急ぎチケットオフィスに入って、受付のおねーさんに予約書をみせ、しばし待つ。

 ・・・・・・。

 コンピューターのキーボードをカタカタとしながら首をひねるおねーさん。

 なんだか雲行きがあやしくなってきた。

 同僚とどうしたもんかと話し合ったりした後、おねーさんは肩をすくめるようなポーズをみせ、説明してきた。

 まぁとりあえず予約できてない、と。

 どういう理由でそうなったのか、一応英語で説明してくれてはいるが、早口でよくわからない。それでも断片的にきき取ることができた単語から察するに、

 チケットの引き換えに来るのが遅いとかなんとか。
 事前にリコンファームをしてくれればとかかんとか。

 到着の遅れ、あるいはリコンファームをしていなかったせいでキャンセル扱いになってしまったのか、最初から予約できてなかったのかはわからない。道に迷って到着を遅らせてしまったことを悔やむべきなのか、旅行代理店に怒りの矛先をむけるべきなのか、気持ちのやり場に困る。
 しかし、不幸中の幸いというかなんというか。

 「12:15~の見学に空きがでている。また6.5ユーロでチケットを買いなおしてもらうことになるが、どうする?」

 とのこと。
 受付にはハッキリと“SOLD OUT TODAY”と掲示してあり、きくところによると本来はキャンセル待ちも受け付けてないようではあるが、こういう場合はどうにかしてくれるということだろう。いや、どうにかしてくれないと困る。
 なんだか釈然としないが、ヴェネツィア行きの列車にはじゅうぶん間に合う時間ではあるし、だいたいこのまま『最後の晩餐』を観ずにミラノを発つわけにもいかないだろう。
 渋々料金を支払ってチケットを受取る。
 で、空いた時間を後回しにしていた他の観光にあてる。
 スフォルツェスコ城に行ってぶらぶらして、


 またドゥオモに戻って屋根にのぼり、

 ミラノの街を見下ろす。

 で、
 いよいよ、
 ついに、
 やっとこさ、

 『最後の晩餐』の前にたどり着くこととなる。 


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2日目のこと・3 ~百聞は一見にしかり~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 再度、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会へ。

 今度もなにが起こるかわかったもんじゃない。12:15からの見学ではあるが、11:30には到着して時間まで待つ。
 入り口はこの教会正面ではなく、左にあるチケット受付センターの奥。
 時間がくると、チケットチェックを受け、中庭に面した通路へ移動。ここは透明ガラスの扉で遮断されて小部屋になっており、不法侵入の防止のためだろう、そこに入場者が全員入るといったん前後の扉が閉まり隔離され、確認後、次の部屋へ移動。これを2度繰り返し、

 『最後の晩餐』へ。

 ついにここまでたどり着いた。
 いよいよ目の当たりにした歴史的名画・・・。

 あぁ、『最後の晩餐』だねぇ。
 テレビや写真でみた『最後の晩餐』だねぇ。
 そのまんまだねぇ・・・。

 『最後の晩餐』はやっぱり『最後の晩餐』だった。それ以上でも以下でもない。

 大部分が剥落しているぼんやりとした絵を観たところで、けっきょくたいした感動はおぼえなかった。わたしにとって『最後の晩餐』は、ヒゲ面のおっさんが描いた、ヒゲ面のおっさん達のシケた晩飯風景というだけであり、そこに美術“史”的価値を見出せても、ただ絵を観て感動できるという単純で純粋な美術的価値は見あたらない。

 この絵にまつわるエピソードや後の世に与えた影響、そしてまことしやかにいい伝えられる“謎”とやら。このテの話はわたしも好きで人並み以上に知っているつもりだし、思うところもいろいろある。
 だがそれも、わたしにとっての美術“史”的、資料的価値を見出しているというだけのこと。それは事実と理屈で成り立つ学問的価値なわけで、実物を観ずとも、写真と文字さえあれば自宅の机上で味わえてしまうことができる。世に数多いる学者先生と文明の利器にあらためて感謝したい。

 『最後の晩餐』は、日本に居ながらにして知っていた『最後の晩餐』だった。それ以上でも以下でもない。

 はやいはなしが、高い金を払ってまで観るもんじゃないな、ということ。
 そういう結果になることは観る前から予想もしていたが、せっかく世界遺産にも登録されているくらいだ、実物を観てはじめて得られる感動がもしやあるかも、なんて淡い期待を込めていたわけだ。

 まぁ、なかったんだけども。

 世界遺産に登録されているのは『最後の晩餐』単独ではなく、絵を含めた教会と修道院全体なのだが、有料で入場できる範囲では自由がまったくきかず、教会見学はできない。ただ15分間、絵を観て、説明を受けるだけ。正規料金は8ユーロで、まぁそれは妥当とも思うが、

 5000円というのはちょっと・・・。


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2日目のこと・4 ~ブレラ美術館~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 気をとりなおし、次こそは“美術品”を観ようと、ブレラ美術館にむかう。
 時間は12時30分を過ぎたところ。残された時間はあまりないが、たいした距離でもないので徒歩で。せっかくだし、もう少しミラノの街並みを見ておこうかと。
 一度さまよい歩いたおかげか、ミラノにおける土地鑑と方向感覚がぼんやりとではあるが身についたようで、20分弱で迷うこともなく到着・・・、
 したはいいが、本当にここでいいのか?

ブレラ美術館

 着いた先はブレラ美術大学であった。
 どうやら美術館は大学構内にあり、美術館の看板も掲げてあったので場所はここで間違いないようではあるが、いざ入ってみると、景色はいかにも大学キャンパス然としており、中庭で若者達と教授らしきおっさんが語り合っていたり、壁には学生にむけた通知らしきものが張り出されていたりで、やはり美術館の入り口はまったく別のところにあるのではないかと疑わしくなってくる。
 それでもとりあえず、

 ←Pinacoteca di Brera

 の方向指示どおり2階に上がったら、うってかわって、いかにもという感じの美術館然とした静謐さに包まれていた。やはり美術館はそこにあった。

 で、このブレラ美術館。ルネサンス前後のイタリア古典絵画を中心に大量展示されている、けっこうな規模の美術館なのだが、それらを観てまわっての全体的な印象をいえば、

 「古い、古いよ」

 古典なんだから古くて当然ではあるが、とくに中世絵画なんかは美術品というより骨董品と呼ぶほうがしっくりくる。「美しい」より、まず「古い」「貴重そう」という思いが先に立つ。

 そりゃもちろん骨董品だっていいのだが、わたしは“美術品”を観にここに来たのだ。思わず肩すかしをくらいそうになったが、
 「ここは美術館ではなく、博物館なんだ」
 と思い直せば、いわゆる国宝級のお宝が惜しげもなくわんさと展示されているわけだから、これはこれでやはり壮観である。
 そもそも『最後の晩餐』ほどの期待はしていなかったため“がっかり”度合いも最小限に食い止められ、なおかつルネサンス以後の作品には素直に“美術品”として観賞できるものも多くて(ラファエロは素人目からみても格別だった)、なんだかんだで観賞時間は1時間を超えていた。時間をみると午後2時。いいかげん戻らないと、予約してある列車に間に合わないかもしれない。残りの展示物を急ぎ観てまわる。
 最初にがっかりしかけながら、最終的には「もっとゆっくり観たかった」とまで思うに到る充実した時間を過ごし、ブレラ美術館を後にした。


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2日目のこと・5 ~ミラノ彷徨~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 ブレラ美術館を後にして、最寄の地下鉄駅を目指す。
 ・・・はいいが、あれ?

 前言撤回。

 ミラノの土地鑑も方向感覚も身についてなんかいなかった。

 道に迷っていた。歩き回っているうち、方角もわからなくなっていた。いや、太陽の位置でなんとなく見当はつくのだが、そんなサバイバル経験を日常的にこなしているわけもなく、その見当にまったく自信はない。だいたい方角がわかったところで、現在地がわからなくなっているのだからどうにもならない。
 しかし、幸いにも目の前をトラム(路面電車ですね)が走っていた。
 このトラムがどこを経由し、どこへ向かうのかさっぱりわからないが、とんでもない郊外に行くわけもないだろうし、たとえ行ってしまうのだとしても、途中一箇所くらいは地下鉄駅に接続するだろう。車窓を凝視しながら、地下鉄駅を示す“M”マークを発見したらそこで降りればいい。
 トラムでも使える一日乗車券を持っている。
 ホテルで朝食を摂ってから何も食べずに6時間強歩き回って、かなり疲れてもいた。
 一か八か、乗ってみることに。

 他の乗客達は乗車券を持っているのかいないのか、打刻機に入れるだとか、運転手に見せるだとかのアクションをせず、容赦なく乗り降りしている。1日乗車券を持っていて何もやましいところのないわたしではあるが、真似はせず、一応運転手側から入って乗車券を見せながら乗り込む。

 さて、乗ってみたら、客の乗降はかなり多い。日本の路線バスと同様、降りたい停留所の前でブザーを鳴らす仕組みなので、その動作に備え緊張していたのだが、乗ってからの数箇所の停留所すべてで乗客の乗降があり、以後も自ら運転手に降りる意思を伝える必要はなさそうなので、次第に肩の力も抜けてきた。
 そして10分もしないうち着いた停留所で、一際多くの乗客が降りようとした。窓の外に“M”の文字が見える。

 うん、どうにかなった。

 着いた先はガリバルディ駅。後で地図を確認してみると、どうやらわたしは、ミラノの交通網の目をくぐりぬけ、エアポケットのようになっているブレラ美術館の北側をうろちょろしつつ、そのまま北進していたらしい(ヒマなひとはミラノの地図を用意してみてみてくださいな)。

 急ぎ地下鉄に乗り、ミラノ中央駅へ戻る。
 着いたら14時30分。たいして時間は費やしていなかった。
 予約した列車の発車予定時刻は14:55。残された時間はあるような、ないような。それでもとにかく朝食以来なにも摂ってないわたしの腹は限界で、とりあえず駅前のマクドナルドでビッグマックセットをたいらげる。そういえば、これがイタリア最初の外食であったのだが、そんな感慨にふけっている場合ではなかった。ま、しょせんマクドナルドだし、どうということもないのだが。
 ものの7、8分で日本のものとかわらない大きさのビッグマックと、日本のLサイズくらいの量のポテト、コーラを胃に流し込み、店を出る。
 さっさとホテルに行って預けてある荷物を引き取り、さっさと駅へと引き返す。

 発車5分前。間に合った。

 で、

 さぁ、きた。

 ぐふふ・・・。

 ユーロスターだ。


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2日目のこと・6 ~好きなものは好きだからしょうがない~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 で、発車予定時刻5分前、これに乗り込んだのだのですよ。
 憧れのユーロスター。

 ユーロスターに限らず、イタリア鉄道の座席のほとんどは(地下鉄は別ね)、2列シート対面で4人分のボックス座席になっている(インターシティは3列6人ボックス)。
 このボックス座席。他の3席が同一グループで占められていたら、ヴェネツィアまでの3時間、かなり気まずい思いをしながら過ごすことになる。まぁイタリア語じゃわかりようもないし、話しかけられても「ワーカリマセーン」で通せば済むはなしだからそれはいいとして、問題は日本人に囲まれた場合だ。こういう場合、日本では当然無視するくせに、外国で日本人を見かけた途端、仲間意識でも芽生えて安心するのか、遠慮なく話しかけてくるという可能性が高い。
 ただ見たいものをこの目で見るためだけに、わたしは好きこのんでひとり旅をしている。べつに出会いなんぞ求めてないし、元来が人見知りの性格ゆえ、知らない人と話すなんてめんどうなだけだ。

 それに、そう。

 鉄道なのだ。

 移りゆく景色をながめ、列車が奏でるメロディに耳をかたむける。
 鉄道に乗ることは移動の手段というだけでなく、それ自体が目的でもある。
 頼む、察してくれ、一般のひとよ。悪いが邪魔しないでくれ。

 仮にこちらに話しかけてこなかったとしても、その場で話されることばが日本語であれば、自然と耳に入って頭に残り、気になってしまうもの。イタリアくんだりまでやってきて日本語など聞きたくない。
 ま、幸いにも、予約している席は窓際だ。ずっと窓に顔を向けて景色を眺めつづけていよう。
 とりあえず話しかけるなオーラを身に纏う準備をしながら席へむかった。

 わたしが乗った車両はほぼ満席。発車間際ということもあり、ボックスのわたしの席以外3席にはすでに客が着席していた。
 で、懸念していた相席メンバーの顔ぶれは、

 窓際でわたしの真向かいに、20代半ばでひとり旅と思しき日本人男性(日本語の文庫本を読んでいたので)。同じひとり旅なら、わたしの気分もわかるだろう。
 隣りで向かい合っているのはイタリア人老夫婦。典型的イタリア人であればおしゃべりは好きだろうが、ことばがわからなければ無理に話しかけてくることもないだろうし、大騒ぎすることもないだろう。
 ということで、抱いた懸念は杞憂に終わった。

 通路側に座る老夫婦に、
 「ぼんじょ~るの。えくすくーじ」
 と声をかけ、通してもらい、席に着く。
 で、待つこと数分。14:55。発車予定時刻になった。
 ・・・が、発車しない。
 いや、さすがだ。イタリアの鉄道はよく遅れるというが、噂どおり。まさか一発目で当たるとは思ってもいなかったが。

 15:10。まだ発車しない。車掌がイタリア語でなにやらアナウンスしているが、もちろんさっぱりわからない。

 15:20。いやさすがに遅れすぎだろう、と思っていたら、また車内アナウンス。すると、乗客たちが一斉に席を立ち、降車しはじめた。アナウンスの意味は、もちろん、あいかわらずさっぱりわからないのだが、他の乗客の動向を見るかぎり、どうやら車両交換らしい。どこか故障でもあったのか。
 日本なら、ここぞとばかりにクレーマーが出現して駅員に喚き散らしているところだが、イタリア人たちは「しょうがないよ」とただ肩をすくめ、あきれ顔をみせるだけで、交換車両が停車している別ホームへと移動していく。さすがイタリア、こんなこと日常茶飯事なのだろう。
 別に急ぐ旅でもないし、“鉄道に乗ることができればなんだっていい”という偏愛もあり、怒るいわれはまったくないわたしものんびり移動。
 ヴェネツィア、サンタ・ルチア駅行きの新たな発車時刻はどこにも表示されておらず、わからないのだが、こんな事態になって、すぐに発車するということはないだろう。ミラノからヴェネツィアまで3時間の乗車。急ぎ駅までやってきたため、そのための準備はしていないので、この間に売店へ行き、チョコレート、ビスケットなどの菓子類とコーラを買ってから、車両へ。
 席につき、さらに待つこと数十分。
 時刻は16:00。

 いよいよ、列車は予定より1時間遅れてヴェネツィアへと動きはじめた。

 発車からしばらくすると、車掌がやってきて検札。
 フランスのTGV同様インターネットで事前予約すれば乗車券は不要。もちろん、これも同様に予約していることの証明は必要なので、わたしはパソコンでプリントアウトした予約のQRコードを車掌にみせる。
 こんなやつ。

 ほんとうにこれだけでいいのか不安がないわけではなかったが、
 「フランスでだいじょうぶだったし、ここでもいけるだろう」
 という根拠の薄弱な自信を持っていた。

 そのまま車掌に紙を渡したら、手にもったスキャナーでコードをピピッ。
 で、車掌は紙を返しながら、
 「グラツィエ」

 わたしも受け取りながら
 「ぐらつぃえ」

 うん、やっぱりこれでだいじょうぶだった。

 ユーロスターは市街地を抜けても想像していたほどスピードは上げずに、イタリア北部、ロンバルディア地方の田園風景の中を走っていく。
 もちろん、細かいところまでみれば違ってくるが、景色や列車の全体的な印象をいえば、TGVに乗ったときのものとたいして変わりなく、新鮮味はあまりない。しかし、そこはそれ。ユーロスターに乗っているというだけで、わたしは満足である(いや、鉄道の旅をしているというだけでじゅうぶん幸せなのだ)。
 列車はブレシア、ヴェローナ、ヴィチェンツァ、パドヴァと、よく聞く名の街を過ぎ、その頃にはすっかり日も暮れていた。
 乗車時間は予定通りの3時間。到着時刻は1時間遅れで19時。
 ヴェネツィア、サンタ・ルチア駅に到着した。


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