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富士登山準備 [はじめての富士登山]

 “なぜ山に登るのか――そこに山があるから”

 という気分も、もちろんある。
 実際、これまでも、“山”なんて大げさなものでなくても、そこに坂、丘、階段があれば無条件にのぼってきた。もうそういう習性になっているのだ、わたしは。
 ただ今回の登山の動機はそれだけでない。

 “おいそれと行くことができない”、にもかかわらず、“毎年多くの人が訪れている”場所。
 そしてそこにわたしはまだ行ったことがない。
 旅行好きの意地と、燃えるコレクター魂。

 よし、ちょっくらのぼってみるか。
 富士山。

 そう思い立ったのが7月の上旬。
 で、思い立ったが吉日。さっそくその週末を休みにしてしまった。
 しかし初の富士登山にもかかわらず、ひとり登山しようという、導入部からして経験者に止められそうな危険な計画である。せめてその他のこと、装備やルートについては万全を期したい。
 長らくの旅行好きが功を奏して、装備に関してはすでにしてそれなりに揃っていて、安物ストックと、靴への小石侵入を防ぐためのスパッツを買うだけで済んだのだが、問題はルート選びである。
 手っ取り早いのは団体ツアーで行くことで、初心者にも安心だとは思うが、他人のペースに合わせるのは、たぶん余計にしんどいはず。往復のバスと山小屋だけが指定で、他はフリーのツアーもあるが、それはそれで帰りのバスの時間が決まっているという縛りが気になる。
 というわけで、やはり個人手配で。

 んじゃまぁ、それでどうしようか。どこから登ろうか。
 自分の体力がどの程度のものなのか、高山に適応できるのか、初登山なもんだからもちろんわかりゃしないので、とりあえず余裕をもった行程にするべく山小屋1泊は確定。
 次はルート。登山道に人が少なく、ゆっくり景色を楽しみながら、ということができればそれにこしたことはないのだが、今回は初心者のひとり登山だけに、なるべくたくさん人がいる方が安心かなとも思う。悩ましい。
 で、五合目までの利便性、山小屋の評判、そしてもちろん懐具合も考慮して選んだのは、富士宮口から宝永山経由で御殿場ルートに入るという、いわゆる“プリンスルート”。ここは比較的人が少ないという。雄大な景色を眺めることはできるが、安心感は捨てた。

 さぁ、あとは山小屋を予約して、その日を待つだけだが――どうも天気が悪そうだ。
 山小屋の予約はせず、数日間様子をみていたが、前日になっても予報は変わらず。
 繰り返すが初心者のひとり登山である。ここは念をいれて断念した。せっかくなら天気のいい日に行きたいし。
 ちなみにこの富士登山予定日だった日に、鋸山に行ってきたのだった。

 で、あらためて、その2週間後の7月21、22、23日を休みにして、平日で空いてそうな21、22日で行きたいと思っていたところ、なんと――台風。ことごとく天気に祟られる。また山小屋の予約はせずに、様子見。

 予定日前日の20日は五合目までの道も封鎖されていたようで完全アウト。
 翌21日、早朝に起床して出発できるようにはしてみた。予報を見る限りは行けそうな雰囲気。
 ただ、しつこいようだが初心者のひとり登山なのである。台風が近くにある場合の山の天気など想像もつかない。
 というわけで断念。
 22日は天気は良くなるようだから1日順延ってことで。土曜にかかるので登山道も山小屋も混雑するかもしれないが、その分の安心感は得られる。

 ここでやっと山小屋の予約をいれ、準備は完了。
 出発を待つ。
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東京~富士宮口5合目~宝永山 [はじめての富士登山]

 22日朝。台風一過でクソ暑くなると思いきや、半袖では少し肌寒いくらいの東京から、富士宮行きの高速バスで出発。
 予定では富士宮駅に10:30着。登山バスに乗り換え、富士宮口5合目着は12:30頃。その後はメシでも食いながら高地に体を慣らし、登山開始後もゆっくりのペースで、8合目の山小屋着は17時頃を目指す。
 初心者ひとり登山のリスクを最小限に抑えるベストプラン――のはずだった。

 はずだった・・・。

 なんとまさかの東名高速事故渋滞。横浜あたりからほとんど動けず。
 もうプランは台無し。
 登山スピードを上げなければ、最悪、日没までの山小屋到着は間に合わないかもしれない。
 歩速を上げるとなると、スタミナ切れ、そして高山病のおそれが出てくる。
 まぁとりあえず、早朝起床で睡眠不足でもあったし、これをいい機会にして充分寝ておこう。それしか対処法はない。

 で、車中寝過ぎるほど寝て、2時間半遅れで富士宮駅到着。登山バスはそれに合わせて待ってくれていたようで、乗り換え後にすぐ出発。

 14:30。ようやっと富士宮口5合目に到着した。
 すぐにでも出発したいところだが、焦りは禁物。急いで体力を消耗して高山病で苦しむくらいなら、夜行登山でビクビクするほうがまだましだ。
 なので、ゆっくりそばを食ったり、コーヒーを飲んだりして30分。

 15時。さぁ、いよいよ登山開始。
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 しばらくは道も歩きやすく、息苦しさもまったく感じず。順調に歩を進める。
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 6合目の山小屋付近で、宝永山への道が分岐。富士宮ルートはそこそこ人がいるものの、宝永山方面へ向かう人の姿がない。大丈夫なのか、これ。
 不安をおぼえつつも、今のところまったく疲れもないので、山小屋で休憩することもなく、宝永山へと向かう。
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 第一火口付近。ここまではまったく問題なし。

 しかし、ここから馬の背、宝永山頂までが、まぁたいへん。
 急斜面にもかかわらず、道は小石と砂地でできていて、とにかく滑る。1歩前に踏み出し、次の足を前に出そうとすると、踏みしめている軸足が半歩滑る。その繰り返し。3歩進んで2歩滑る。歩いても歩いても、進んでいる気がしない。
 予約している宿の案内にも、このルートは下りしか紹介されていない。どうりで人が少ないわけだ。

 とにもかくにも、ここまできて引き返すわけにもいかない。登るしかないのだ。
 流れる汗、減少する体力。
 ただ、息苦しいといえば息苦しいが、それは普段の運動中の息苦しさと同質のものであり、高山病の症状が出ているというわけではないのが幸いだ。

 さっきまで晴れ渡っていたのが、さすが山の天気、すぐに雲の中。
 宝永山山頂へ着いた。
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宝永山~赤岩八合館 [はじめての富士登山]

 先ほどの難所はさすがにキツかったが、そこを越えて山頂までたどり着き、息を整えると、疲労はまったく感じなくなった。
 “クライマーズ・ハイ”なわけではもちろんないにしても、多少の興奮、達成感、恍惚感で疲労を自覚していないだけかもしれず、念のため馬の背で休憩。
 まぁしかし、やっぱり疲れてないもんは疲れてない。“一度座ったら動けなくなった”ということにもならないので、水分補給したりで5分ほど座っただけで、さっさと出発。御殿場ルートへの合流点を目指し、引き続きプリンスルートを行く。

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 皇太子が登ったとのことで、一般客にもさぞかし人気なのかと思いきや、わたし以外誰もいないこの“プリンスルート”、ノーブルな名とは裏腹に必要最低限の整備しかされていない、ひとり歩きには恐怖の登山道だった(前述の宝永火口からの登りのキツさも含めて)。
 ここまで上がってくると、もう草木は生えておらず、一歩でも足を踏み外して滑落でもしようものなら、受けて止めてくれるのは岩だけである。たぶん即死。
 宝永山山頂到着時は晴れていたのが急に雲がかかって視界が悪くなり、不安が増すなか、石に塗られた矢印を頼りに、一歩一歩足場を確かめながら、ゆっくり進む。
 膝がガクガクするのは、恐怖からか、やっぱり疲れが出ているのか。

 ただ、この恐怖の箇所はそれほど長くはなく、ほどなく御殿場ルートに合流。
 ただのビビリ症だったわたしの膝はもうガクつくこともなく、いいペースで登っていく。

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 何年か前に立山で到達して以来の3000m。体調の異変はなし。なんだ、大丈夫そうだ。
 調子にのって、そのまま黙々と登り続けているうちに、雲を抜けた。
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 これ以降はとくに書くこともないくらい、なにごともなく7合目を越え、じつにあっさり8合目手前、宿泊予定の赤岩八合館へ到着した。
 時刻は18時ちょっと過ぎ。ルート地図によく書かれている推定所要時間より1時間ばかりはやく着いてしまった。
 どうやらわたしは健脚だったらしい。
 毎日片道30分の自転車通勤が効いているのか。ま、台風が近くにあるとは思えないほど、風もない好天に恵まれたこともあるだろう。

 小屋の料金を先払し、荷物を寝床に置き、しばらく目前の雲海をぼーっと眺める。
 明日の朝、この影のてっぺんまで行く。
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赤岩八合館の一夜 [はじめての富士登山]

 日暮れまでボケッと雲海を眺めてから、夕食。
 赤岩八合館名物、おかわり自由のカレーライス。ありがたくモリモリ食っておきたいところではあるが、そこは慣れない高地である。食い過ぎでの調子の崩し方は低地のそれとは違ってくるだろう。もちろんトイレの心配もある。
 ま、せっかくだからおかわりは1杯だけいただいておいて、気持ち悪くなる前に締めた。

 日が沈んだとたん、急激に気温が低下してきた屋外へ。

 見下ろすと、ふもとの街の灯り。
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 見上げれば、満天の星空。
 ほんと、天気に恵まれてなによりだ。

 ただ、これはこれで問題があって――

 赤岩八合館は、自らホームページで謳ってしまっているように、“すいている”ことがウリで、わたしもそれがここを選んだ大きな要因であった。
 だが、金曜の夜である。
 昨今の富士登山ブームにより、登山者の絶対数が増えたこともあるだろう。

 ――そして天気がいい。

 小屋は満員であった。寝床はまさに寿司詰め状態。ひとりに与えられているスペースは一畳あるかないか。
 防寒で外気が入らないようにすることと、スペース節約のためか、布団は端が隣と重なった形で敷かれており、少しでも寝返りを打とうものなら、隣に影響がでるのは必至。21時の消灯後は、その衣擦れの音すら小屋の中に響く。これでいて結構まわりに気を遣ってしまうわたしは、一度寝床に入ってしまうと、もう身じろぎもできなくなってしまった。
 そんななか起こる、トイレに立つ人の物音やら、いびきやらには、耳栓替わりに嵌めていたカナル型イヤフォンもあまり効果を発揮しない。

 あげくは、そう――この日は天気が良かったのだ。
 ここまでの道のりは暑くも寒くもなく、風すらほとんどなく、おかげで体力の消耗はほとんどなかった。
 さらに東京からのバスで、ガッツリ睡眠をとってしまっていた。

 幸か不幸か、体力が有り余っているわけだ。
 この状態で消灯21時というのもさすがに早すぎる。

 ――眠れるわけがない。

 “明日のためにも眠っておかなければ”という焦燥感が、眠りの淵からさらに遠ざける。
 布団の中は上記のとおり密閉状態で、自らの体温がこもって防寒どころかすでに暑苦しく、布団を剥がそうにも隣に迷惑がかかるからそれもできない。汗に変わってじわじわと奪われていく水分。渇く喉。イライラは増して――眠れるわけがない。

 そんな苦闘を続けること5時間。
 ウトウトすることもできないまま、ついに山頂で御来光を迎える予定の登山者が起床し始めた。
 同時にわたしも起床して、出発の準備を始める。
 午前2時。バイブレーションでセットしていた携帯電話の目覚ましタイマーを、動作しないまま切るのはなかなかにむなしいが、堂々と布団を出ることができ、その開放感でむしろ清々しい。

 先に記してしまうが、この後の山頂までの道のりも下山も天気に恵まれ、とくに苦労することはなかった。今回の行程、家を出てから帰るまでの間でいちばん苦しかったのは、登山そのものではなく、結局この山小屋の一夜ということになる。
 ま、同じ不眠なら、夜行登山するより、布団の中で横になっていられるだけまだマシだったと思うことにする。


 追記

 いちおうフォローしておきますが、富士山の山小屋はどこもこんなものだそうです。以上は、自身の神経質と体力の認識不足、そして混雑状況の見通しの甘さが招いた結果であり、赤岩八合館が特別どうということではありません。それどころか、女将さんをはじめ、スタッフの皆さんはどなたも明るく親切で、不快に思うことはなにひとつありませんでした。
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赤岩八合館~山頂で御来光 [はじめての富士登山]

 長袖シャツを重ねたうえに、さらにウインドブレーカーを着て、靴下も2枚履き。真冬の装備で山小屋の外に出る。詳しい気温はわからないが、おそらく5℃くらいか。ただ相変わらず天気は良く、風もほとんどないので、体感温度はさほど低くない。
 午前2時30分。さぁそろそろ眠れるかというタイミングでの起床だったので、心身共に絶好調というわけにはいかない。頭痛の一歩手前のようなモヤモヤを感じる。これが高山病につながらないといいが。
 そんな不安を抱えつつ、しばらく山小屋の前のベンチでぼけーっとしてから、カロリーメイトを朝食とし、午前3時、山頂にむけて出発。

 それにしても天気に恵まれている。
 風はない。
 それなのに雲もない。
 だから満天の星。
 星空にむかって登っている。

 だが現実は夜行登山。懐中電灯で足元を照らし、足場を確認しながらの歩行なので、星空に見蕩れている余裕がないのがなんだかもったいない。
 残念ではあるが、安全登山と引換にするわけにはいかないし、そのまま黙々と登り続けていたら、じゃんじゃんと先行している登山者を追い抜いていくことになった。
 やっぱりわたしは健脚のようだった。山小屋でボケっとしていたおかげで、じつは日の出に間にあうかどうかギリギリの出発時間であったのだが、この調子なら大丈夫そうだ。

 しかし、9合目を過ぎ、そろそろ山頂間際かというところで、ついに息苦しくなってきた。わたしは自転車や長距離走で息が上がると、舌の付け根にしびれるような痛みをおぼえるのだが、同じ症状があらわれてきた。
 調子に乗りすぎてさすがにオーバーペースだったか、ただ高地というだけなのか。
 ま、両方だろうが。
 ただ、まだ頭痛、吐き気などはないから楽といえば楽だし、これまでも5合目出発からとくに苦労もなかったので(山小屋での息苦しさは別で)、やっと登山気分が盛り上がってきた感じもする。

 肉体的ダメージに快感をおぼえ始めてきたところで、ついに浅間大社の鳥居が見えた。
 山頂だ。
 午前4時。予想より30分早く到着した。
 ちなみに日の出時間は4:36(だったと思う)。時間に余裕があるともいえず、息つく暇なく、御来光ポイントを探すため、東の方へ行ってみる。
 10分程歩いたところで、それなりに人が集まって待機している場所があった。まだ座って落ち着くことのできるスペースも空いている。
 この先まで行けば、御来光には絶好のポイントがあるのだろうが、すでに人で溢れかえっているだろうし、ここでもじゅうぶん東の空は望めるし、とりあえずここに腰を据えた。

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 徐々に空は白みはじめるが、まぁしかし、さすがの富士山頂だ。寒い。
 山頂に来てもやっぱり風がなく――いや、ないわけではないのだが山頂にしてはごく弱い――それはほんとうにありがたいが、それでも寒いもんは寒い。準備しておいた防寒シートにくるまり、陽の光をひたすら待つ。

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 そしてついに――

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 あぁ、ありがたや。

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富士山頂・お鉢巡り [はじめての富士登山]

 さて、山頂まで登って、御来光を浴びたはいいが、いまいち達成感がないのは、山頂標識を見ていないせいだろう。
 お鉢巡りがてら、剣ヶ峰、山頂標識を目指す。
 とりあえず、一般的だという時計回りで。
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 そうしたら、この剣ヶ峰への急斜面がまぁすごい。
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 画像からは伝わらないだろうが、この登山で一番の恐怖をおぼえた。
 自分が滑落するのはもちろん怖いが、日の出後の土曜日の富士山頂は人が溢れかえっており、そこに滑落していくのは確実に被害者を増やすことになる。

 左の手すりにすがりつくようにしながら慎重に登り、やっとこさたどり着いた、剣ヶ峰、正真正銘富士山山頂は、まさに黒山のひとだかりで、山頂標識での写真撮影のための行列ができていた。

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 しみじみと達成感と感慨にふける、というわけにはいかず、さっさとこの場から逃げ出し、お鉢巡りに戻る。もう、なんだかなぁ。

 だがしかし、天気はすばらしい。これだけでこの日を選んで良かったと思える。

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 見事だねぇ。

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山頂~大砂走り~御殿場口5合目~おしまい [はじめての富士登山]

 お鉢巡りで山頂をぐるりとして、吉田口付近の休憩所でおしるこをいただきながら一休み。
 外の気温はたいして高くはないようだが、とにかく日差しが強烈で、暑いんだか寒いんだか自分でもよくわからない。
 身軽にするためにも真冬の装備を解除し、上は長袖シャツ1枚のみにしてみたが、やはり体感気温に変わりはなかった。

 下山口をいったん通り過ぎ、人でごった返す浅間大社奥宮を眺めながら、木花咲耶姫(字はこれでよかったか?)のことを思いニヤニヤしてみる。

文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

 ただ、読んだのはすでに何年も前なので、詳しいことまでははっきりとは覚えてないのが残念。読んでから登ればよかった。

 さて、下山。
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 登ってきたときはまだ暗かったのでわからなかったが、すごいところを登ってきたんだねぇ。

 宿泊した山小屋に戻ったのが午前8時半頃。遅い朝食をとる。この時間の融通のきき方も赤岩八合館のウリのひとつだそうだ。
 帰り際、女将さんに「○○さん、またいらしてね」と名前を呼ばれびっくりした。毎日入れ替わりたちかわり大量の客を捌いているであろう中、前日のチェックイン時にしか名乗っていないひとりの客の名前を覚えているというこの気遣い。リピーターが多いらしいのもうなずける。

 気分よく山小屋を後にして、引き続き御殿場ルートを下っていく。
 7合目を過ぎ、往きで辿ってきた宝永山へ続くプリンスルートを横目に進むと、いよいよ大砂走りに突入する。

 ここから砂地の急斜面を転がり落ちるように、1時間30分程で標高差1000mを駆け降りていくことになる。

 見渡すかぎりの砂礫。壮絶。
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 だけど爽快。


 つい数時間前までこのてっぺんにいたのに、自分の足で歩いて(半ば走って)、もうここまできているというのは、やっぱり壮絶だ。
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 山小屋での朝食をを含めても、たった4時間弱の下山を終え、御殿場口5合目に到着。
 頂上までは拍子抜けするくらい楽に辿り着けたが、下山も実にあっさりと終えることができてしまった。
 終わってみれば、寝不足というだけでたいした疲れもなく、翌日も筋肉痛になどならず、もうこれ以上何も書くことがない。
 ま、無事でなによりということで。
 なんとも幸せな富士初登山だったといえるだろう。

 ――ちなみに大砂走りは、もちろん全身砂まみれになります。下山後の入浴は必須。御殿場駅周辺には無料バスが出ている温泉もいろいろあるので、事前に調べておくとよいでしょう。
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