2日目のこと・4 ~ブレラ美術館~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]
気をとりなおし、次こそは“美術品”を観ようと、ブレラ美術館にむかう。
時間は12時30分を過ぎたところ。残された時間はあまりないが、たいした距離でもないので徒歩で。せっかくだし、もう少しミラノの街並みを見ておこうかと。
一度さまよい歩いたおかげか、ミラノにおける土地鑑と方向感覚がぼんやりとではあるが身についたようで、20分弱で迷うこともなく到着・・・、
したはいいが、本当にここでいいのか?
着いた先はブレラ美術大学であった。
どうやら美術館は大学構内にあり、美術館の看板も掲げてあったので場所はここで間違いないようではあるが、いざ入ってみると、景色はいかにも大学キャンパス然としており、中庭で若者達と教授らしきおっさんが語り合っていたり、壁には学生にむけた通知らしきものが張り出されていたりで、やはり美術館の入り口はまったく別のところにあるのではないかと疑わしくなってくる。
それでもとりあえず、
←Pinacoteca di Brera
の方向指示どおり2階に上がったら、うってかわって、いかにもという感じの美術館然とした静謐さに包まれていた。やはり美術館はそこにあった。
で、このブレラ美術館。ルネサンス前後のイタリア古典絵画を中心に大量展示されている、けっこうな規模の美術館なのだが、それらを観てまわっての全体的な印象をいえば、
「古い、古いよ」
古典なんだから古くて当然ではあるが、とくに中世絵画なんかは美術品というより骨董品と呼ぶほうがしっくりくる。「美しい」より、まず「古い」「貴重そう」という思いが先に立つ。
そりゃもちろん骨董品だっていいのだが、わたしは“美術品”を観にここに来たのだ。思わず肩すかしをくらいそうになったが、
「ここは美術館ではなく、博物館なんだ」
と思い直せば、いわゆる国宝級のお宝が惜しげもなくわんさと展示されているわけだから、これはこれでやはり壮観である。
そもそも『最後の晩餐』ほどの期待はしていなかったため“がっかり”度合いも最小限に食い止められ、なおかつルネサンス以後の作品には素直に“美術品”として観賞できるものも多くて(ラファエロは素人目からみても格別だった)、なんだかんだで観賞時間は1時間を超えていた。時間をみると午後2時。いいかげん戻らないと、予約してある列車に間に合わないかもしれない。残りの展示物を急ぎ観てまわる。
最初にがっかりしかけながら、最終的には「もっとゆっくり観たかった」とまで思うに到る充実した時間を過ごし、ブレラ美術館を後にした。
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