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初日のこと・4 ~ミラノ到着~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 時刻は17時。出発の30分前になり、ミラノ行きの便の搭乗が始まった。
 ミラノ行きへはターミナルから直接搭乗できず、飛行機までバスで移動。
 客が揃うまでバスの中でしばらく待つ。
 そうしたら、さすがのミラノ行き、ドイツ語に混じってちらほらとイタリア語もきこえてくる。
 盛り上がってきた海外旅行気分も、いよいよ“イタリア”旅行のそれへと輪郭が明瞭になってきた。

 機内に入って席につき、定刻どおり17時35分、ミラノへと出発。

 それにしてもオーストリア航空のCAの制服。社の基本色である赤に全身染まっているのだが、この赤がどぎつい。どうにも下品に見えてしょうがない。
 ミラノ行きにひとり北欧系のパツキン美女のCAが乗務していたのだが、彼女ですらその赤にのまれていた。美人は何を着ても似合うといわれるが、ありゃウソだね。
 まぁ、だからどうというわけでもないのだが。
 ありがたいことに、ミラノまで1時間30分という短距離路線にもかかわらず、サラダとケーキの軽い機内食が出て、目に痛い赤もそれで帳消しだ。昨年、スカンジナビア航空のパリ~コペンハーゲン間では飲み物が出ただけだったのを思うと、なかなかいいぞオーストリア航空。
 などとボケっと思っているうち、いつのまにかミラノ・マルペンサ空港に到着していた。定刻どおり19時ちょうど。
 さっさと荷物をピックアップし、国内線と同様に入国審査もなく到着ロビーへ出る。目に付くところにさっそくピザ屋があったりして、わたしも素直に、じつに短絡的に、イタリアに来た実感を得る。

 さて、初日の宿。
 夜の到着とはいえ、さして遅い時間でもない。それでもやっぱり初夜は無難に過ごしたいため、荷物を抱えて地下鉄に乗ったり、長距離歩いたりはしたくない。
 ということで、マルペンサ空港からの直通バスが発着しているミラノ中央駅から歩いてすぐの場所のホテルを予約してある。

 で、バス乗り場へ。
 国際便が発着しているものの、たいして広くもないマルペンサ空港。方向指示も明確にしてあり、あっさりと乗り場を発見。
 中央駅行きの車両もすでに待機していて、乗り口の前にいた係りのおっさんに運賃5ユーロを払って乗り込む(わたしはちょうど5ユーロ紙幣をもっていたのでよかったのですが、釣銭がどれほど用意されているのかはわかりません。乗り場のすぐ近くにチケット売場があり、クレジットカードももちろん使えるので、そちらで買う方が無難でしょう)。
 15分程待って、車内が満員になってからバスは出発。
 しばらくは高速道路を走る。

 はじめて目にするイタリアの景色・・・。

 うーん、暗くてよくわからない。ましてや空港付近である。典型的地方都市郊外の景色に感想の持ちようもない。
 しかしそれも中心部に近づくと一変。20時30分頃に到着した中央駅付近には人通りもまだ多く、ミラノに対するわたしの先入観もあいまって、なんだか華やいだ雰囲気を感じる。
 「深夜のミラノ中央駅は非常に治安が悪いので近づくな」
 という内容のことがどのガイドブックにもインターネットサイトにも掲載されており、わたしにとってもそれがこの旅最大の懸念であった。いわれてみれば確かに駅前の広場は開けすぎているぐらい開けていて、それが人口密度を下げ、殺風景といえばそのようにも見えてしまうのだが、見渡せばひとも多くにぎわっていて、周辺には飲食店やマクドナルドも煌々と明かりを灯して営業しており、特にびびってしまう要素はない。なるほど、ここでいう“深夜”とは、いわゆる日付がかわって“未明”と呼ばれるド深夜のことで、こんな21時前なんて時間はまだまだゴールデンタイムということなのだろう。
 かといって、これから遊び歩くような勇気は持ち合わせておらず、そもそも勇気があったところでそんなことする気はハナからないので、さっさとホテルに向かう。

 CANOVA

 なる3ッ星ホテル。駅から徒歩3分もかからずに到着。
 ホテルに関するこの星評価はじつに曖昧で、あまり信用できるものではないのだが、部屋に入ったらダブルベッドのシングルユースということでじゅうぶんな広さがあり、バスルームにもバスタブがついていて、まぁこんなもんだろう、と。

 ただ、どうにも気になる点がひとつ。
 この画像の左の方に開かずの扉があるのだ。押しても引いても開かない。付いているノブはどんなに力をこめてもまわらない。
 どうやら隣りの部屋とつながっている扉らしい。もとはスイートルームだったのかなんなのかは知らないが、本来つながっている2部屋の間の扉をはめ殺しにして、1部屋づつに分けてしまったもののようだ。まぁそれはそれでいいのだが、困ったことにその仕事がかなりいいかげんで、ドア、壁、床の間に隙間があいている。
 ここはイタリア。男女ふたり組が入ってきて、見境もなくなにやらおっ始めたりすることもありえる。こりゃかなわん。さぁどうしたもんだろうと思いながらしばらくすると、いよいよ隣りの部屋に別の客が入ってきた。そうして入ってきたのがわかってしまう時点でかなり問題ではあるが、案の定、話し声までまる聞こえ。女性ふたりで英語を話している、ということすらわかってしまう。ビニールをガサゴソする音まで聞こえてくる。
 直前予約で通常よりかなりの格安料金で宿泊しているとはいえ、この部屋はあんまりだ。隣りはイタリア人カップルではないようなのでそっちの心配はないかもしれないが、別のなにかで深夜まで騒ぐようなことがあれば、面倒だが部屋をかえてもらおうかと、喋るべきことばを考えていたら、お隣りさんもこの2部屋の状況に気付いて気を遣ってくれたのか、さっさと寝てしまったのか、声も音も聞こえなくなった。
 こちらもなるべく物音を立てないようにするというのも面倒だが、部屋をかえることや、そのための交渉で四苦八苦することを考えるとまだマシだ。
 だいたい、このホテルには1泊しかしないし、もういいや。幸いにも隣りは静かだし、もう寝てしまおう。

 そういえば往きの機内で寝てしまったことに不安をおぼえていたはずだが、そんなことはすっかり忘れるほど脳はくたびれ、身体は休息を欲していた。やはり長時間のフライトは疲れる。部屋の明かりを消し、目を閉じたとたんに、意識はなくなっていた。


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