乗り物酔い

　『いとうせいこう×みうらじゅん 見仏記トークショー』なるものが発表され、まだわたしが訪れたことのない地、甲賀での開催ということで、あぁありがとう、また旅する理由ができた、と、即チケット購入。
　そして、やはり、それだけで行って帰ってくるのはつまらない。

　滋賀だし、琵琶湖周辺の十一面観音めぐりでもするか、さらにまた京都、奈良を足して仏像地獄にするか。
　しかし、こう毎度々々京都奈良に行っていると、さすがに新鮮味が薄れる。
　さてどうしたもんだろう――と考えてみたら、滋賀のお隣に三重がありますね。三重といえば、伊勢神宮、松阪牛、そして鈴鹿サーキット！　F１日本グランプリもちょうど日程が重なっている。

　いやじつはね、F1が鈴鹿に来てから30年、ずーっと観てきたんですよ。
　テレビでだけど。
　その程度のライトファンなので、テレビでいいや、となっていたのだが、「30年」とあらためて思うと、その時間はずしりと重い。
　なんだ、わたしはF1が好きだったのではないか？
　せっかく開催している時期に、そっち方面に行っているのだ。この機会を逃したら、たぶんもう行かない。

　隣県とはいえ、鈴鹿と甲賀の間にはそれなりの距離があるが、FP2終了後でも、鉄道利用だけで『見仏記トークショー』開演時間に間に合いそうだ。
　よし決めた。

　夜行バスで名古屋入りして、近鉄、バスを乗り継いで――



　わたしが買ったチケットはいちばん安い、西コースのフリー観覧エリアのものなのだが、本日の金曜フリー走行は、メインスタンド以外はすべて自由席。ではせっかくだから明日以降は入れない場所で観ましょうか。

　FP1はS字近辺で。



　そういえば、わたしはサーキットに来るのは初めてではなく、大昔、富士グランチャンピオンレースの最終年に親に連れられて観に行ったことがあるのだが（おじさんにとって、“グラチャン”とはバレーボールの大会ではないのだよ）、いや少年時代の記憶が蘇ってきたね。
　スピード、迫力。ナマで観るもんだね。

　昼休みはGPスクエアでトークショー。
　中嶋親子、鈴木亜久里、フェリペ・マッサ、ミカ・ハッキネン。
　そりゃ30年だもの、全員観てましたよ。テレビでだけど。





　FP2はストレートエンドをちらっと眺め――


　――1、2コーナーへ。




　この後、さきほどのレジェンドレーサー達がレジェンドマシンを駆ってデモランをするとのことだったが、すまん、また別世界のレジェンドの話を聴きにいくんだ。デモランは明日、明後日もやるから、ここは退散。

　伊勢鉄道、鈴鹿サーキット稲生駅まで歩き、乗り継ぎ乗り継ぎ、近江鉄道、水口城南駅。
　やってきたぜ甲賀。ニンニン。
　あいこうか市民ホール。

　そしてレジェンド。


　F1から仏像へ。
　こっち世界からあっちの世界への移動のスピード感。陶酔感。
　へろへろです。