11日目のこと・1 ~サハラ砂漠を後にして~ [はじめての複数国周遊~モロッコ編~]
未明に起床して、懐中電灯片手に砂丘をのぼる。
サハラの夜明け。
日の出見物のラクダツアー客が大量にいて若干萎えるが、まぁしょうがない。
朝食後に、ホテルのスタッフが「リッサニ行きのミニバスが8:30頃に来るが、どうする?」と。
料金は20DHという。
ちなみにホテル~エルフードの送迎料は片道150DH。
文字通りケタ違い。
乗ります、ミニバス。
さて出発直前、急に便意をもよおして部屋のトイレに入っていると、部屋のドアをノックしてスタッフが呼んでいる。
「そろそろ時間ですよ」
のんびりしてしまっているこちらも悪いが、それにしても・・・と思いつつ、“いま、トイレに入ってるんですよ”と大声で返す。
数分後、「おい、バスが来ちゃったぞ。待たせてるんだ。早くしろ」と。
いやもう、こっちも悪いよ、そりゃ。でもトイレに入っていると言ってるでしょ。
ホテル業、サービス業の観念が、日本とは大きくかけ離れている。
また昨日の複雑な気分が蘇ってきた。
あぁ嫌だ。
繰り返すがこちらも悪いので、急ぎ用を足し、荷物をまとめてチェックアウト。サハラとの別れの感傷に浸る間もなく、待っていたミニバスに乗り込んだ。
ミニバスはほんとに“ミニ”なバスで、使われているのはただのワンボックスカー(いちおうベンツではある)。地元民の足として、日に数本運行されているらしい。
車内は満員。乗客のみなさんに、通じるかわからないままとりあえず英語で“遅れてすんません”と言ってみると、中のひとりが「日本人か?」と英語で話しかけてきた。運転手も若干英語が通じるようで、リッサニ到着後、そのふたりにワルザザート方面に行くにはどうすればいいか相談してみると、「バスを使うにしろグランタクシーを使うにしろ、ここ(リッサニ)よりは、エルフードまで行ったほうがいい」とのことで、親切にエルフード方面行きのグランタクシーを見つけてくれた。
気分が落ちていたところで、なんだか救われた気がした。
後部座席4人乗りのグランタクシーでエルフードに到着後、また運転手が英語で話しかけてきた。
「この後どうするの?」
本日の目的地はワルザザート。
ガイドブックをみるかぎり、ここエルフードから一本でワルザザートに向かうのは難しそうなので、途中のティネリールという街で次の手段を講ずることになるだろう。
ただティネリールまでの道のりも大変で、ガイドブックには“エルフード~ティネリールのバスは1日3本”とある。ちょうどいい時間にバスがあるのかどうか。グランタクシーを使うにしても、所要時間は2時間30分だそうな。あのギチギチで2時間30分はキビシイ。
どちらも50DH程度で済むらしいのはいいが・・・ためしに運転手にオファーしてみた――
このタクシーをチャーターしてティネリールまで行くことはできる?
「あぁできるとも」
はうまっち?
「400DHでどう?」
――乗合料金の10倍である。相場はわからない。しかし、あのギチギチを味わうことなく、ボロボロとはいえ“ベンツで悠々モロッコの旅”とくれば、妥当な金額だといえなくもない。
値切ることもできるのかもしれないが、まぁいいや。運転手も悪い人じゃなさそうだし。
そのまま400DHで手をうった。
ところがここで運転手、「友達を乗せていきたいんだけど、いいか?」
おいおいおい、どういうこと?
“悪い人じゃない”と判断したおれの目は節穴だったのか?
いやいや、これしきで“悪い人”と断定するのはわたしの被害妄想も甚だしい。だいたい、日本人とモロッコ人の価値観の違い、職業倫理の違いはこの旅で散々味わってきて、ついさっきも痛感したばかりではないか。いいかげん慣れなければならない。
ここはひとつ、寛容になろう。
快く(見せながら)了承した。
ま、わたしが後部座席、その運転手の友人とやらが助手席に座るぶんにはなんの支障もないし、断る理由はない。それに運転手とわたしふたりっきりで、特に会話もないまま2時間半を過ごすよりは、かえってこちらも気が楽だ。
ベンツは一路、ティネリールへとひた走る――
――しかしまぁ、旅はなかなかうまくはいかないもので。
道程3分の2あたりと思われるところで、車に故障発生。どこぞやの街へたどり着いたはいいが、そこで別のグランタクシー、しかも乗合に乗り換えるはめになってしまった。
ただわたしがチャーターした側の運転手。やっぱり悪い人ではなかった。
返金はしてくれないまでも、ティネリールまでの料金支払いを済ませてくれたうえ、こちらからは要望を出していないのに、助手席のひとり使用を次の運転手にとりあってくれていた。なかなか気がきくではないか。
日本人が金にものをいわせている典型のような気がして、後部座席でギチギチになっている4人の視線が痛いが、事実高い金を払っており、結果こうなってしまっているのだがら、この気まずさは甘んじて受け入れよう。
金にものをいわせた傲慢な日本人を乗せたグランタクシーは、助手席にひとり分スペースがあるのが丸見えなのにもかかわらず、道中、手を上げているお年寄りやご婦人の乗車拒否を繰り返しながらティネリールに到着した。
サハラの夜明け。
日の出見物のラクダツアー客が大量にいて若干萎えるが、まぁしょうがない。
朝食後に、ホテルのスタッフが「リッサニ行きのミニバスが8:30頃に来るが、どうする?」と。
料金は20DHという。
ちなみにホテル~エルフードの送迎料は片道150DH。
文字通りケタ違い。
乗ります、ミニバス。
さて出発直前、急に便意をもよおして部屋のトイレに入っていると、部屋のドアをノックしてスタッフが呼んでいる。
「そろそろ時間ですよ」
のんびりしてしまっているこちらも悪いが、それにしても・・・と思いつつ、“いま、トイレに入ってるんですよ”と大声で返す。
数分後、「おい、バスが来ちゃったぞ。待たせてるんだ。早くしろ」と。
いやもう、こっちも悪いよ、そりゃ。でもトイレに入っていると言ってるでしょ。
ホテル業、サービス業の観念が、日本とは大きくかけ離れている。
また昨日の複雑な気分が蘇ってきた。
あぁ嫌だ。
繰り返すがこちらも悪いので、急ぎ用を足し、荷物をまとめてチェックアウト。サハラとの別れの感傷に浸る間もなく、待っていたミニバスに乗り込んだ。
ミニバスはほんとに“ミニ”なバスで、使われているのはただのワンボックスカー(いちおうベンツではある)。地元民の足として、日に数本運行されているらしい。
車内は満員。乗客のみなさんに、通じるかわからないままとりあえず英語で“遅れてすんません”と言ってみると、中のひとりが「日本人か?」と英語で話しかけてきた。運転手も若干英語が通じるようで、リッサニ到着後、そのふたりにワルザザート方面に行くにはどうすればいいか相談してみると、「バスを使うにしろグランタクシーを使うにしろ、ここ(リッサニ)よりは、エルフードまで行ったほうがいい」とのことで、親切にエルフード方面行きのグランタクシーを見つけてくれた。
気分が落ちていたところで、なんだか救われた気がした。
後部座席4人乗りのグランタクシーでエルフードに到着後、また運転手が英語で話しかけてきた。
「この後どうするの?」
本日の目的地はワルザザート。
ガイドブックをみるかぎり、ここエルフードから一本でワルザザートに向かうのは難しそうなので、途中のティネリールという街で次の手段を講ずることになるだろう。
ただティネリールまでの道のりも大変で、ガイドブックには“エルフード~ティネリールのバスは1日3本”とある。ちょうどいい時間にバスがあるのかどうか。グランタクシーを使うにしても、所要時間は2時間30分だそうな。あのギチギチで2時間30分はキビシイ。
どちらも50DH程度で済むらしいのはいいが・・・ためしに運転手にオファーしてみた――
このタクシーをチャーターしてティネリールまで行くことはできる?
「あぁできるとも」
はうまっち?
「400DHでどう?」
――乗合料金の10倍である。相場はわからない。しかし、あのギチギチを味わうことなく、ボロボロとはいえ“ベンツで悠々モロッコの旅”とくれば、妥当な金額だといえなくもない。
値切ることもできるのかもしれないが、まぁいいや。運転手も悪い人じゃなさそうだし。
そのまま400DHで手をうった。
ところがここで運転手、「友達を乗せていきたいんだけど、いいか?」
おいおいおい、どういうこと?
“悪い人じゃない”と判断したおれの目は節穴だったのか?
いやいや、これしきで“悪い人”と断定するのはわたしの被害妄想も甚だしい。だいたい、日本人とモロッコ人の価値観の違い、職業倫理の違いはこの旅で散々味わってきて、ついさっきも痛感したばかりではないか。いいかげん慣れなければならない。
ここはひとつ、寛容になろう。
快く(見せながら)了承した。
ま、わたしが後部座席、その運転手の友人とやらが助手席に座るぶんにはなんの支障もないし、断る理由はない。それに運転手とわたしふたりっきりで、特に会話もないまま2時間半を過ごすよりは、かえってこちらも気が楽だ。
ベンツは一路、ティネリールへとひた走る――
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――しかしまぁ、旅はなかなかうまくはいかないもので。
道程3分の2あたりと思われるところで、車に故障発生。どこぞやの街へたどり着いたはいいが、そこで別のグランタクシー、しかも乗合に乗り換えるはめになってしまった。
ただわたしがチャーターした側の運転手。やっぱり悪い人ではなかった。
返金はしてくれないまでも、ティネリールまでの料金支払いを済ませてくれたうえ、こちらからは要望を出していないのに、助手席のひとり使用を次の運転手にとりあってくれていた。なかなか気がきくではないか。
日本人が金にものをいわせている典型のような気がして、後部座席でギチギチになっている4人の視線が痛いが、事実高い金を払っており、結果こうなってしまっているのだがら、この気まずさは甘んじて受け入れよう。
金にものをいわせた傲慢な日本人を乗せたグランタクシーは、助手席にひとり分スペースがあるのが丸見えなのにもかかわらず、道中、手を上げているお年寄りやご婦人の乗車拒否を繰り返しながらティネリールに到着した。
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