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8日目のこと・2 ~フェズで人のやさしさを知る~ [はじめての複数国周遊~モロッコ編~]

 さて、ここフェズでも、無難にガイドブックに載っている中級ホテルに泊まろうかと、新市街へ出た。
 目当ての宿に向かうべく、そのガイドブックの小さい地図を頼りに、夕暮れのフェズをトボトボ歩く。
 しかし、行けども行けども目的地にたどり着けない。どこか、違う道に入ってしまったのか。
 地図には道路名が割と細かく記載されていて、これを頼りにできそうなもんなのだが、実際の道路には道路名表記の看板がどこにも見当たらず、結局役に立たない。
 なにか他に手がかりはないかと、立ち止まってガイドブックを凝視しては、あたりを見回したりしていると、女学生と思しき若いモロッコ女性ふたり組の内のひとりが、「May I help you?」と話しかけてきた。しかもこれが、ふたり共かわいい。

 モロッコ到着そうそう、タンジェで“自称ガイド”の洗礼を浴び、オッサンのしつこさに小銭を失ったわたしは、モロッコ人恐怖症になっていた。「コニチワー」と、わたしが日本人だとわかって話しかけてくる人に対し、“あぁこいつ、おれをうまいことだまくらかして小銭をせしめようとしているんだ”と疑心暗鬼に陥り、無視を貫き通すようになっていたのだ。
 フェズに到着して、バスターミナルからここまでさまよい歩いている間も、多数の人に「コニチワー」と声をかけられ、それを悪意の有無の判断をまったくすることもなく、ひたすら無視するか、「ダイジョブダイジョブ」とてきとうにあしらうという失礼極まりない行動を繰り返してきたのだが、そういえば、女性から話しかけてきたのはモロッコ上陸以来初めてだ。しかもかわいいときた。
 日本国内だと、他人に好意を抱かれる外見の要素が皆無のわたしに話しかけてくる女性がいたら、それこそ詐欺か、新興宗教の勧誘に違いないと疑いを持つが、こんな遠い異国の地で道に迷って途方に暮れている状態に陥っている中、かわいい女性に手を差し伸べられたら、仕事以外で女性と話すというモテない男特有の緊張感を持ちながらではあるが、そりゃ心も開くってもんだ。
 文字どおり“迷える”子羊の前に、天使が舞い降りた。あぁ、ありがたやありがたや、と、すがりつくように、地図を指し示しながら道を訊ねると、天使は懇切丁寧に教えてくれた。あぁ、ありがたや。
 もちろんこのわたしに、「そこまで一緒に行ってほしい」などという不埒な要望を出せるほどの余裕があるはずもなく、「さんきゅー、めるしー、しゅくらーん」と、思いつくままに礼の言葉を並べ、ふたりと別れた――はいいが、舞い降りた天使に、緊張で舞い上がっていたわたしは、教えてくれた道順をロクに覚えていなかった。
 そこで道中、交通整理をしていたポリスマンや、両替所のおっさんに道を訊ねることになったのだが、みな嫌な顔ひとつせず、丁寧に教えてくれた。金銭を要求されることだってない。
 そう、基本、モロッコ人はいい人ばかりだったのだ。
 声をかけられても無視する一方だった自分を情けなく思いながら、親切な人々のおかげでたどり着いたのは、

 Hotel Olympic

 なる中級ホテル。



 タンジェでのホテル同様、レセプションでは下手な英語も難なく通じ、部屋も見せてもらったところ、

20090209194550.jpg
 なーんにも問題なし。即決。すぐにチェックインを済ませ、いったん部屋に落ち着いた。


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