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8日目のこと・1 ~タンジェからフェズまでバスに乗る~ [はじめての複数国周遊~モロッコ編~]

 朝8:00起床。準備をすませてホテルをチェックアウトし外へ出ると、けっこう寒い。タンジェの2月は、日中は15℃くらいあるが、朝晩はかなり冷え込む。
 フェズ行きのバスは10:00発。それまで広場に面したカフェで朝食。なにか素っ頓狂なものを注文して、“なんだこの日本人”と思われるのも恥ずかしいので、まわりがどんなものを食っているのかを観察してみると、大概の客はクロワッサンやデニッシュとコーヒーという組み合わせ。なんだ、普通ではないか。わたしも倣ってクロワッサンとカフェオレの朝食とした。

 9:30にCTMバスターミナルに着き、しばらく待っていると、フェズ行きのバスがやってきた。乗り込むと、普通の観光タイプのバス。シートなども目立った汚れはなく、じゅうぶんな清潔感がある。CTMバスは指定席制。席に着いて、さてこの先どうなることやらとソワソワしているうちに、10:00。乗客はたった10人程度で、定刻どおりバスは発車した。

 母なる大地アフリカで、初めてのバス移動である。市街地を抜け、さぁ車窓にはどんなスペクタクルな風景が広がっているかと期待したが、羊飼いがいたりして、なんのことはない、ヨーロッパの鉄道やバスで見てきたのと同じような田園風景が延々と続く。

 いやべつに、野生動物と出会えそうな広大なサバンナや、荒涼とした砂漠なんかは、地理的にお目にかかれないのはわかってはいたが、東京在住のへなちょこ野郎にとっての非日常的風景くらいはちょろんとでもあるんじゃないのかな、と淡い期待を抱いていたところ、ちょろんと拍子抜け。ま、生きていれば、明後日にはサハラ砂漠まで行っちゃうのだ。楽しみはとっておこう。
 2時間ばかり走ったところで、ティトゥアンに到着。地図を見てみると、まだ行程の5分の1程度しかきてない。一応予定では、乗車時間は8時間だったはずだが、どうやら遅れているようだ。なんだかげんなりしてきた。
 ここで相当数の客が乗ってきて乗車率8割程になり、出発。
 わたしのとなりの席には、地元民と思しき、ベールで顔を隠した中年女性が座った。些細なことが失礼にあたったりタブーだったりしそうで、かなりドキドキする。
 ここからはどうやら山を越えるらしく、崖っぷちを走ったりして、先程とはうって変わってわりと壮絶な景色が待っていた。

(車窓の方向が違うのは、ティトゥアンまでは席がガラガラだったので、勝手に席を移動していただけです)
 とはいえそれは、いわゆる高地、山岳地帯のもので、わたしが勝手にイメージするアフリカの景色とは違うものであったのだが、まぁいい。明後日だ、あさって。

 13:15にシャウエンらしき街、そして14:00、15:30と名のわからぬ街に寄り、カフェで30分ほど休憩。満員に近くなっていた車内から2割ほどの客が降りた。
 ここから2時間ノンストップで18:00。タンジェからバスに揺られに揺られ、およそ10時間の乗車。ついに日も暮れかけたフェズに到着した。さすがにキツイ。しかし、ここでぼけっともしていられない。バスターミナルで、次に向かう砂漠方面へのバスの時間を確認する。
 とりあえず次に宿泊する予定の街はエルラシディア。窓口にいたキレイめのおねーさんに、てきとーな英語でそこまで行きたいという旨を告げると、

 「21:00」だと。

 え、それしかないんすか?

 「それしかない」と。

 おねーさん、ちょっと待っててね。おれ考えるから。

 さて、どうしたもんか。
 この直後の21時の便はいわずもがなの却下ではあるが。
 民営バスで昼便を探すか?
 いやしかし、よくよく考えてみたら時すでに18:00であり、明日昼便で出発するとなると、フェズ観光はまったくできないことになる。
 一方、明日の夜出発であれば、日中はフェズ観光にあてることができるうえ、砂漠の手前のけっして大きくはない街で一晩過ごすということはしないで済む。もちろん宿代もうく。
 もうこれ以上うまい案はないと思われる。というか、もうこれ以上考えたくない。ぼくはもう疲れたよ。だって10時間もバスに乗ってたんだもの。

 お待たせしました、おねーさん。明日の21:00の便、ひとりでお願いします。

 チケットを買い、ガイドブックで目星をつけていた宿へ向かうべく、フェズの街へ出た。
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