Cocco [感想文]
いやもちろん、他にも“ホンモノのウタ”を唄える歌手がいる。
自らの魂から削りだしたような詞を、なんのてらいもないストレートな声とメロディに乗せて。
彼女がなぜ音楽活動を休止したのか、わたしには知る由もない。どんな事情があったにせよ、もうCoccoの新曲を聴くことはできない。自ら消え去ろうとする稀有な才能を引き止めることができなかった、あるいはそこまで彼女を追い込んでしまった日本の(我々一般リスナーも含めた)音楽業界に、わたしは憤りすらおぼえていた。
沖縄での限定的な活動を経て、本格的な音楽活動の再開となったこれも、あくまでポップであることにこだわった“SINGER SONGER”の一員としての唄であり、それはそれで心地よく、今までになかった一面を聴かせてくれていいのだが、わたしの待っていた“Coccoのウタ”ではなかった。
そしていよいよCoccoが“Cocco”として戻ってきた。
現在、テレビの芸能ニュースやラジオで流れているタイトル曲を聴くかぎりは、“新生Cocco”を思わせ新鮮ではあるが、「ウタヲウタウ」ことへの魂のかたむけ方は以前のCoccoと変わっていてほしくない。もちろん、その部分こそがCoccoの真髄でもあるわけだし、“SINGER SONGER”ではなく“Cocco”として唄う以上、そんな心配は必要ないだろう。
はやく次の曲も聴きたい。アルバムの発表が待ち遠しい。
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