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たまにはアカデミックに [TV観戦]

 さきほど放送されたNHK『新日曜美術館』。特集は「~都市を変えるポップカルチャー~OTAKU」ってことで、おいおい今さらおたく論かよ、と思っていたら展覧会してるのね。http://www.syabi.com/
 「文化による都市の変容」とは実に興味深い話である。「秋葉原は、街が文化をつくったのではなく、文化が街をつくりあげたという世界にも類をみない街」ということが番組と、紹介された展示のメインテーマなのだが、番組の視聴者層が視聴者層だけに「おたくとはなにか」と説明しなくてはならないわけで、結局懸念していたとおり、おたく論に時間が割かれ、そのうえ、かの『ヴェネチア・ビエンナーレ』での展示ということもあり「外国人からみたおたく文化」にまで話が及んでしまっていた。そういうのは他でさんざんみてきたから食傷気味である。また、この「おたく論」もゲスト出演していた展示責任者の説にまかせっきりで、「おたく心理」などといった曖昧なことでも断定的な論調だったのが気になるところではある。今回だけでなく、この番組の過去の放送や、世の学術系教養番組もだいたいが監修する学者センセイの意見に偏った断定的な論調になる傾向がある(あ、でも『紅白梅図屏風』のときは様々な学者の見解が出ておもしろかった。まぁ「様々な見解が出るくらい、いまだに謎の多い『紅白梅図屏風』の奥深さ」というのがコンセプトの放送だったから論外かもしれないが)。
 とはいえ、やっぱり放送がおもしろかったからこうして書いてるわけね。冒頭のとおりメインテーマは「おたく論」ではなく「都市文化論」であり、そもそもヴェネチア・ビエンナーレ「建築展」での展示の紹介であるわけで、「おたくと建築」という、なかなか普通では結びつけることのできないテーマの組み合わせは斬新で、この展示が好評をはくしたというのもうなずける。
 のだがしかし。おそらくこの展示をみたほとんどの西洋人は見世物小屋的ものめずらしさで興味を示したのだろう。世界中におたくは存在するし、ことヨーロッパに関しては日本のおたく文化が浸透しているというが、ヴェネチア・ビエンナーレに行く層とおたく層が重なるとは思えない。そんなおたくを知らない西洋人に、どんなに言葉やものを並べたところでおたくを理解できないのではないか。いや、おたくを知らないひとだけでなく、ヨーロッパのおたくも、日本のおたくを理解できてはいないのではないか。
 日本の西洋画家がヨーロッパ、とくに南部に行くと「西洋で描かれるような絵は日本では描けない」と痛感するという。日本とは違う独特の乾燥した空気を肌で感じ、それを吸い込み、身体に、そして生活に染み渡らせないとあの色彩は表現できないそうだ。
 逆にいえば日本のおたく文化もこの湿気があってこそ生まれ、それを肌で感じてこそ理解できるということになる。おたくの印象ってジメジメしてるもんねぇ。
 なんていってるわたしも、はたから見ればおたくなんだろうな、などと考えつつ、きょうも第二のふるさと、秋葉原へ向かう。i-pod買うかな。


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A

おぉ〜久しぶりに見たら、たくさん更新されてますね。パチパチパチ。
一時期、私、おたく論にハマっていくつか本を読みましたけど、まあ、難しいですよね。大塚英志(だったかな)が、今は「オタク」といわれているけど、あえて「おたく」といいたいって言ってましたけど。さらに「OTAKU」になっちゃった、みたいな。
by A (2005-02-28 23:28) 

homerun

 更新しちゃってるねぇ、あっはは、まぁヒマってことよ。
 あとこの記事、改めて読み返してみたらまぁ読みにくいこと。往生際の悪いことに改稿しちゃってます。全部書き直すのもめんどうなので細かいところの修正をしただけだが、少しは読みやすくなってるはず。この時間以前に読んでしまったひとも、おひまならいちど読み返してみてください(過去の記事もこっそり補筆、訂正してます)。
by homerun (2005-03-01 08:43) 

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