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出発までのこと~旅の動機と計画~8 [はじめての複数国周遊~準備編~]

 スペインの宿は、その施設、設備の形態によって呼び名が区別されており、“オテル(Hotel)”というのは、その建物全体が宿泊施設になっていて、専用の出入口がある宿を指しているそうで、マドリードでは、郊外まで行かないと手頃な価格のものがない。
 で、マドリード中心部で、手頃な価格、そしてそれなりの設備も整った宿となると、宿泊施設が建物の一部でしかなく、その他のフロアは一般住居や店舗になっている“オスタル(Hostal)”と呼ばれる宿から探すことになる。
 しかしこのオスタル。建物の出入口が宿専用のものではないという性質ゆえ、その出入口近辺が旅行者を狙った強盗の格好のスポットになっているらしい。

 いやー、生きて帰れるのか、おれ。
 ちなみに耳が聞こえなくなっていたのは、マドリードの宿探しで困っていたこの頃である。

 まぁしかし、予約サイトに登録されているくらいの宿ならそれなりの安全は確保されているだろうし、ほんとうに危ないのは、電話しか予約手段のない、ほぼ飛び込み客専門のような最低価格級の安宿なのだろう――そう自分に言い聞かせ、常に人で賑わっていそうなソル付近のオスタルを選び、予約した。

 さて、残るはスイスの宿であるが、もうここは、予約サイトに登録されているような宿は、どこをどう探したって全部高い。特にジュネーヴなどは、街の中心部にあるまともそうな宿の中での最低価格が、日本円で1万円弱。ジュネーヴ着は20時ということで、宿の滞在時間=睡眠時間ということになりそうなのに、それでこの金額はいかがなものだろう。
 そこでいよいよユースホステルの登場である。
 旅人の交流の場、ユースホステル。
 わたしのようなコミュニケーション不全の小心者にしてみれば、できるだけ避けて通りたい道である。しかも英語すらまともに解せないのに、いきなり海外のユースホステルに飛び込むなんて、想像するだに、不安感しかもよおさない。

 ただこれ、あくまでもドミトリーに限った話である。
 個室さえあれば、なんにも問題ない。
 だいたいきょうび、個室のないユースホステルを探す方が難しいだろう。

 わたしが見つけたジュネーヴのユースホステルも個室が豊富。シャワー、トイレは共同ながら、施設は新しいものらしく、画像をみる限りは清潔そう。どうせ寝るしか用がないのだから、これで申し分ない。
 価格はユースホステルにしては法外にも思えてしまうが、スイスなんだからしょうがない。
 はい、予約。

 最後に、旅の最終日に滞在予定のチューリッヒの宿探し。
 予約サイトには、ジュネーヴとは違って、中心部にも手頃な価格のホテルが登録されていることはされているのだが、“階下がクラブになっていて、日によってうるさい”とか、“オーナーがゲイで、客もゲイが多い”とか、いちいち難点がある(いやべつにゲイのみなさんに偏見などは持っていないつもりだし、じっさいただ宿泊するのには問題はないのだろうが、万が一ということもある。予約サイトにわざわざそういう説明が記載されている以上、いざ宿泊するとなったら、それが目的でと思われても仕方がない)。
 ユースホステルもあたってみたが、ホームページに施設の画像がまったく掲載されてなかったりして、ジュネーヴで見つけたものほど、信用に足りない。

 さて、どうしたものか――いや、ちょっとまてよ。

 帰国便はチューリッヒ13時発。中央駅から空港まで近いというし、それなりに時間の余裕もある。チューリッヒ泊にこだわる必要はないのではないか。
 ジュネーヴからチューリッヒまでは、鉄道で『ゴールデンパス』という観光路線を行くつもりでいたが、その途中の街で泊まるのもアリだろう。

 そして探したら、あっさり発見。

 チューリッヒまで鉄道で約1時間の、木製屋根付橋で有名な街、ルツェルン。駅から徒歩圏内の中級ホテルが、直前予約サイトに格安価格で出ていた。

 これいじょう考えるのはめんどくさくなっていた。
 ぼくはもう疲れたよ。
 耳も聞こえないし。

 これでいいや。
 はい、決定(予約可能な、チェックイン2週間前までまだ日があったため、予約は出発直前まで待つことにはなったが)。

 さぁ、日本でするべきことはすべてやった。あとは出発を待つだけである。


 ――というわけで、長くなりましたが準備編でした。で、ここでいいたかったことは――

 モロッコ行きはあくまでもスペインの“ついで”であり、ただアフリカに行ってみたかったというだけで、特に目的はなかった。
 ほんとうに行きたかったのはスペインだけだったはずが、“どこに行きたいか”よりも、“どこに行けるか”に比重の重きを置いた旅程の組み方になってしまい、おかげで計画が大袈裟になってしまった。
 最終的に“目的”と“手段”が逆転してしまった。

 ――ということなわけです。以上を踏まえていただければ、読みやすくなるかと思われます。いつ書き終えることができるのか、まったく見当がつきませんが、すえながく見守っていただければ幸いです。
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