浅田真央ｖｓ郷ひろみ

　テレビのチャンネルをちくちく変えながらみていたら、浅田真央がすべっていた。
　いまのところ、わたしにはフィギュアスケートへの興味があまりなく、誰が勝とうがどうでもいい。だから浅田真央の演技も、“競技性”からくる緊張感を抜きにした、そこにある芸術性だけが目に入ることになるわけで。
　演技の途中であるが、リモコンのボタンを押すリズムは変わることなく、ほかのチャンネルへ。

　そこでは郷ひろみが唄い、踊りくるっていた。
　わたしの指は止まった。

　みなさん観てましたか？　観たひとはわかるでしょ？

　なんだかものすごかったのだ。うまくことばにできないが、とにかくすごかった。

　会場全体も興奮していただろうことは、画面からも存分に伝わってきた。
　終わったとたん、思わずテレビの前で拍手しそうになったほどだ。
　ことあるごとに、郷ひろみのライブが放送されているし、わたしもちょくちょく目にするが、今回はいつにも増してすごかったような。
　“エンターテイナー・郷ひろみ”としての極みに達している。

　それを観て、それ“だけ”を観て、どれだけ楽しめるか、どれだけ心を動かせるか。

　とりあえずは競技に勝つことを主眼においた１０代のがきんちょスケーターと、ただひたすら観る者を楽しませようとする円熟味と豪快さを兼ね備えたベテランエンターテイナー。ちょうど真裏で放送していたふたりのパフォーマンス。

　のんびりテレビをみているだけ、気軽に娯楽性を求めるだけのわたしの目からすれば、というはなしではあるが――

　――郷ひろみの圧勝だった。

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by riri (2008-03-21 19:55)